紙刺繍のすすめ

紙刺繍のすすめ

ピンと張った紙に糸がぽっこり現れるだけで、なんてぬくもりのある可愛らしさが生まれるのだろう…。

前から気になっていた紙に刺繍をするワークショップで、【紙刺繍】の作品を初めて見た時にそう思った。

「布に刺繍するよりも、用意する道具も少なくて気軽に始められます。」
「布刺繍よりも気軽に贈りやすいんです。」
「紙刺繍って、手芸と工作…両方を楽しめますよね。」

そんなふうに紙刺繍について、教えていたのは刺繍家の千葉美波子さんだ。

美波子さんは、今は自身で刺繍教室を開いたり、刺繍の本『日本のかわいい刺繍図鑑(ビー・エヌ・エヌ新社)』や『はじめての恐竜刺しゅう(エクスナレッジ)』を出版されるなど、刺繍家として活躍している。
布に糸で刺繍をすることが主だが、紙刺繍のワークショップも開いている。

美波子さんと刺繍の出会い

「刺繍家になった経歴は、自分で言うのもですけど、珍しいと思います。」

もともと企業の広報を務める会社員だった美波子さんは、1つの大きなプロジェクトが終わり、次のステップに行くか、転職するか迷っていた。
ただ、このまま仕事をしていると大好きな「手紙」を書く時間がない。
転職をするなら、手紙グッズを制作してみたい。手紙を書くことで気持ちをひとやすみできるようなものを作りたい。その意思を固めた頃、「やりたいことをやれ!会社、辞めていいぞ!」と上司が背中を押してくれた。

こうして、2006年に手紙グッズを作る“クロヤギシロヤギ”を立ち上げた。

クロヤギシロヤギでは、主にレターセットを作った。その営業先や移動中、様々な人に聞かれたのが持っていたバッグのことだった。
水色の布に菜の花の刺繍が施されているバッグは、美波子さんの手作り。会社員になる前に、ふと「刺繍をしたバッグを作りたい。」と思い作ったものだった。

「そのバッグが欲しい!」

要望が増えてきたことから、しぶしぶ始めた刺繍だったが、いつの間にかステッチがうまくなるにつれて、刺繍について追及するようになっていった。

そうして、布と糸で作品を生み出す刺繍家として活動してから数年たった頃、紙に糸で刺繍をする【紙刺繍】に出会う。

「紙刺繍のすすめ2」へつづく